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レンタルオフィス、サービスオフィスの選び方

1.サービスオフィスとは?レンタルオフィスの歴史
サービスオフィスやレンタルオフィス、シェアオフィス等の言葉が一般に知られるようになって大分経ちます。
もともと、事業を立ち上げるために一般の貸事務所を借りるには費用が掛かるため、マンションの一室や自宅を事務所にしてスタートをすることが多く、1980年代に当時のマンション分譲会社が会議室や受付などの共用サービスと、業務を行うための個室を備えたオフィスビルを建設し、「アイオス」というブランドを立ち上げました。
マンションやホテルのような内装と設備が特徴で、スタートアップの企業や個人事務所等が利用するようになりました。
当初の入居者のなかには、今では誰もが知っているような大企業となった会社もあります。
他にもポストだけを置き、住所や電話番号のみを利用するバーチャルオフィスや、フリーアドレスでワンフロアに様々なオフィスが利用するシェアオフィス、個人でデスク等を利用するコワーキングスペースなど、さまざまな形態のレンタルオフィスがでているほか、商業ビルのワンフロアで提供していたり、共用スペースを様々な形で利用出来たりするなど新たな試みを行うオフィスも増えて参りました。
2.オフィスの形態 (レンタルオフィス、サービスオフィス、シェアオフィス、コワーキング等)
・レンタルオフィス、サービスオフィス
・シェアオフィス
・コワーキングスペース
・バーチャルオフィス
といったそれぞれの特徴に応じたタイプのレンタルオフィスがございます。
ここでは、それぞれの特徴を見ていきたいと思います。
2-1.バーチャルオフィスについて
・費用を押さえて、住所と電話番号を特定の場所に置き、実際の業務は自宅や別の場所に置きたい。または来客時のみ対応したい。
という方向けの仮想オフィスで、ポストと電話番号が取得でき、郵便等は直接受け取るか任意の場所に転送してもらう、また電話については直接転送するか、電話代行サービスにつないで対応します。
また、コワーキングスペースが別に利用出来たり、会議室を有料で利用できるところもあります。
インターネットで完結してしまうような場合や、来客を伴わず、常に自身も飛び回っていて不在の事が多い、特に業務スペースや事務所機能を持たなくても良い場合などには良いかも知れません。
ただし、住所を調べるとそのようなオフィスであることが分かってしまう事も想定され、会社の信用度が落ちてしまう可能性もあるので、注意が必要です。
2-2.コワーキングオフィスについて
コワーキング(Coworking)という言葉は共に(Co)働く(working)、つなり同じスペースで様々なバックグラインドを持つ会社が協働するという意味があります。
また、最近はテレワークの普及などで家では仕事がしにくかったり、気持ちを切り替えたいような場合に利用する、ということも増えています。
共用のラウンジやフリースペースで業務を行う形態で、荷物等は貸しロッカーが用意されていることが多く、来客時や社内で集まりたいときに利用出来る会議室や、受付が設けられているところも多いです。
一番のメリットは、他業者も含めた他社とのコミュニケーションが取りやすく、人脈を増やしたり、業務における新たなアイデアが生み出しやすいということが挙げられます。
定期的にイベントや研修会、交流会などを設けているところもあります。
ひとつのオフィスをシェアするという意味では、シェアオフィスの一種とされることもありますし、シェアオフィスやレンタルオフィス、サービスオフィスの中にもコワーキングブースを設けたり、コワーキング会員の形でフリースペースのみを使える場合があります。
起業したてだったり、個人事業主として始めるときに、個室ではなく、オープンに他の起業家等の刺激を受けたい場合などはおすすめです。
2-3.シェアオフィスについて
シェアオフィスは、一つのオフィスを複数の会社で利用することを指し、会議室や受付等を共用で利用し、業務スペースもオフィス内に他社ともに置かれているというのが一つの定義です。
これまでの流れで言えば共用のスペース内で専用のデスクが設けられている、ということが狭義でのシェアオフィスです。
しかし今では実際にはシェアオフィスと言っても、運営会社によってさまざまなとらえ方をしており、業務スペースについては先程のコワーキングの様にフリースペースだったり、レンタルオフィスの様に個室だったりと様々です。
ですので、今は一般的にシェアオフィスと言えば、コワーキングスペースやレンタルスペース、サービスオフィス全般を指していると捉えた方が分かりやすいと思います。
物件を選ぶときは、業務スペースがどの様になっているのか確認が必要です。
2-4.レンタルオフィス、サービスオフィスについて
最後にレンタルオフィスとサービスオフィスについてご案内いたします。
これまで見てきた、バーチャルオフィス、コワーキングオフィス、狭義のシェアオフィスと違うところは、専用の部屋が用意されているということです。
専用のポストや社名版が付くようになりますので、対外的にも認知度が上がります。
受付や会議室などの共用スペースが設けられていることが多いですが、中には部屋だけ分かれていて、そうしたものが無いオフィスもありますので、事前に確認が必要です。
事務所を借りる際に、たとえば宅建業など、業種によっては、事務所専用のドアや看板がついていないと業者登録が出来ない場合があります。
そうなると、レンタルオフィスか一般の事務所を借りるしか選択肢がなくなります。
行政に届け出が必要な業種の場合は、事務所の条件がありますので、必ず確認をしておきましょう。
そして、事業が発展するにつれて人数が増えてきたり、いつまでも社内的な事をオープンに出来なくなる時期が来ます。
そんな時にレンタルオフィスやサービスオフィス、または一般の事務所への移転を考えることになります。
また、専用の部屋を借りるとなると、契約形態が一般の不動産物件と同じく普通借家契約または定期借家契約に基づいたものになります。
契約期間もコワーキングやシェアオフィスでは月ごとのところが多いですが、レンタルオフィス、サービスオフィスでは1年または2年間のところが一般的です。
退去等に関する取り決めも、数カ月前までに予告しなければならないという決まりがあるかと思いますので、事前に確認しておきましょう。
サービスオフィスはその中でも有人の受付や、荷物の受け渡し、また一定の業務なども館内スタッフに頼めるところがあったり、ラウンジやフリースペース、テレワーク用の個室ブースを別も設けている、あるいは福利厚生などもついているオフィスなど様々なサービスを提供しているものを指し、サービス内容によって、また共用施設の充実度によって賃料が異なってきます。
3.レンタルオフィス、サービスオフィスのメリット
ここまで一通りのオフィスの内容を見てきましたが、ここからはこれらのオフィスのメリットを見ていきたいと思います。
3-1.初期費用を抑えられる
一般のオフィスでは、入居時に
・保証金が6~12ヶ月
・内装工事代
・家具、通信機器等の費用
などが掛かります。
一方、バーチャルオフィス、コワーキングオフィス、シェアオフィスなどでは、
入会金という形で、
レンタルオフィス、サービスオフィスでは、
保証料1~6カ月程掛かります。
入居時の保証金だけを見ても、1ヶ月の家賃が仮に30万円だとすると、
保証金が3ヶ月の場合では90万円ですが、
と10ヶ月では、300万円と大きな差になります。
また、一般の事務所はスケルトンの事が多く、内装工事が必要です。
これも数十から数百万円の出費となるだけでなく、
退去時の原状回復費も負担しなければなりません。
その点コワーキングオフィスやシェアオフィスでは、座席の提供だけですし、
レンタルオフィス、サービスオフィスの場合でも、
内装済みでそのまま入居可能で、場合によっては家具等もレンタル(無償が多いが有償のところもあり)で費用が抑えられることが多いです。
3-2.ランニングコストを抑えられる
オフィスの内容によりますが、コワーキングやシェアオフィスではそれほど費用は掛かりません。
レンタルオフィスやサービスオフィスでは、一般事務所と比較すると割高の物件もありますが、
受付スタッフや会議室、室内清掃等も含めて考えるとトータルで割安になる可能性があります。
3-3.受付や会議室等、来客者の印象がアップ
小さな会社や個人事務所では、受付専用のスタッフを雇うことは難しいと思います。
事務員も普段の仕事の合間に行いますし、対応に慣れるには時間が掛かります。
その中で受付スタッフが対応するだけでも印象は違ってきます。
また、会議室についても、事務所内に設けるとなると簡易的なものになりがちです。
エントランスをはじめ、家具や内装のクオリティも来客者のイメージアップに繋がります。
更に館内の清掃も重要です。
自分の業務に忙しい中、なかなか自分たちだけでは出来ない部分も多いと思います。
日々の清掃や手入れが行き届いているかどうかは、オフィスを選ぶ際に気を付けてみて頂くポイントになります。
3-4.他の入居者との交流でビジネスの幅が広がる可能性も
特にコワーキングオフィスやシェアオフィスにおいては、他業者と同じスペースで業務をすることが多いため、自然と交流しやすい環境です。
物件によっては交流会や各種研修会などの機会も見られます。
違う目線や他社の強みを取り入れて、自らのビジネスに繋げられるチャンスもありますし、お互いに顧客を紹介してもらうことも出来るかも知れません。
4.レンタルオフィス、サービスオフィスのデメリット
このようにレンタルオフィス、サービスオフィス等にはメリットばかりではありません。
オフィスを選ぶ際に注意するポイントでもありますので、気を付けてみていきましょう。
4-1.ランニングコストが高くなる場合も
レンタルオフィス、サービスオフィスは一般の事務所と比べると、初期費用は抑えられる反面、賃料には共用施設の費用も含まれているため、ランニングコストとしては割高になる場合があります。
特に普段来客が無く、会議室もあまり使わないような場合、利用年数が長くなると一般の事務所の方がトータルでは安くなるかもしれません。
4-2.会議室等の施設が使えない場合も
入居者数に対して会議室の数が少ない場合があります。特にコワーキングやシェアオフィスの場合は、スペースに対する人数も多いため、使いたいのに使えない事が多いという声も聞かれます。レンタルオフィスやサービスオフィスの場合もコワーキング会員がいる場合には、同様の事が起こりがちです。
普段の利用状況や予約状況などを事前に確認しておくことも大切です。
4-3.セキュリティー面の懸念について
コワーキングオフィスやシェアオフィスは同じオフィス内に様々な会社が入居している他、来客もありますので、安全面での不安が生まれることもあります。
レンタルオフィスやサービスオフィスにおいても、同じビル内に商業施設や他のオフィス区画がある場合等は不特定多数の人が行き来できるため、リスクが高まります。
専用のビルになっているかどうか、またはセキュリティー区画がどの様になっているのかを確認しましょう。
4-4.入居者間のトラブルが発生する恐れも
コワーキングやシェアオフィス、レンタルオフィス、サービスオフィスという形態は、他の入居者とのコミュニケーションを取る機会が増える反面、入居者間のトラブルが生じやすい環境であると言えます。
レンタルオフィス、サービスオフィスの場合には、エントランスなどに社名版が出ていると思いますので、ある程度入居者の傾向などを確認することが出来ます。
ただし、入居者のマナーについては、事前に確認することが難しいため、入居してから分かることもあるかも知れません。
エリアや賃料相場等を見ながら検討することも大切です。
5.オフィスの選び方
オフィスの対応やメリット等を確認したら、今度は実際に探していきましょう。
5-1.どの形態を選べばよいのか?
今の事業の状況や、今後の展開をみながら、最適なオフィスを探してみることが大切です。
もちろん予算との兼ね合いもあります。
参考までにご要望からみていきたいと思います。
基本的には自宅で行い、住所だけ別にしたい→バーチャルオフィスであれば、最低限の費用で始められます。
他の起業家とモチベーションを保ちながらやっていきたい→コワーキングオフィスなら、協業しながら始められると思います。人脈作りにも。
ある程度スタートの目途が立っている→費用によりシェアオフィス、またはレンタルオフィス、サービスオフィスがおすすめ。
特に移転時の費用とアドレス、対外的なステイタス面で優位に立ちたい等があれば最初からレンタルオフィス、サービスオフィスから始めるという手も。
業種によっては許可を得るために個室が必須も場合もあるので事前に要確認です。
人数が増えてきたので、社内空間を持ちたい→費用感もあわせてみていく必要がありますが、人数的に10名くらいまでならレンタルオフィス、サービスオフィスが使い勝手も良いと思います。人数が多い場合はコワーキングや休憩スペースも考慮に入れる必要があるかも知れません。
拡張性というところでは20名くらいまでですと、2部屋を借りたり、2部屋をつなげたりして使うケースもあります。
しかし、それより増えてくると一般の事務所を借りる方が多くなってきます。
広くなるほど独自でフロアを借りた方が使い勝手が良くなります。
5-2.サービスオフィスの料金とサービス
基本的には同じエリアであれば、
バーチャルオフィス
↓
コワーキングオフィス
↓
シェアオフィス
↓
レンタルオフィス、サービスオフィス
の順に自分たちで使える範囲が増えるほど、賃料が高くなっていきます。
そして、レンタルオフィスやサービスオフィスの場合ですと、
共用スペースやサービスによって金額に差が出ます。
たとえば、受付や共用の会議室などが無いタイプは比較的安いです。
次に受付、会議室スペースのみでコワーキングスペースが無い対応となります。
別にコワーキングは不要ということであれば、このクラスでも十分と言えます。
このタイプの良さとしては、静かで落ち着いた雰囲気が挙げられます。
更に共用スペースが広く、無料で使えるスペースが多ければ、
全体から見た賃料の区画の割合が減るため、その分金額が上がります。
コワーキングや休憩スペース、コーヒーサーバーや自動販売機、ドリンクコーナーなど、
設備が充実していくほど福利厚生としては高まりますが、当然賃料に反映します。
特に大手不動産業者のオフィスは競争も激しいため、サービス内容も充実していますし。人気やステイタスも高めです。
企業ブランドと必要な要素と予算のバランスをどこで取るかで最終的に選んでいくことになります。
以上がオフィスの種類と選び方になりますが、いかがでしたでしょうか。
もしご不明点等ございましたら、お気軽にお問い合わせ下さい。